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 ちょっとフライング気味に公開された…?
 こうして見るとXSXとは大分アプローチが違うようですね。
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[Eurogamer: Inside PlayStation 5: the specs and the tech that deliver Sony's next-gen vision]

 今回PS5の技術を解説したMark Cerny氏に話を聞くという形式の記事ですね。

 スペック面ではZen2が8コアで最大3.5GHz、GPUはRDNA2カスタムの36CU、動作周波数は最大2.23GHzで10.28Tflops、メモリは16GBのGDDR6を256bit接続で帯域は448GB/s、ストレージ容量は825GBのSSD…とこの辺の額面の数字はXbox Series X以下のものとなっているのですが、ここからは大分様相が異なってきています。

 CPUとGPUについては可変動作周波数により発熱の範囲を設定、両者が同時に最大周波数に達することは無いように設定されているそうですが、最大負荷時においても多大な演算性能低下が起こるわけではないようです。
 またレイトレーシングについてはGPUに組み込まれたもので単体ハードウェアの搭載は無し。
 多大な負担無しにレイトレーシングによる反射を実現したPS5タイトルも見たとCerny氏。


 PS5で大きな改善に取り組んだのはストレージ周りで、内蔵SSDは額面上の読み込み速度は5.5GB/sながらデータ解凍を含めた実質読み込み速度は8-9GB/sに達し、2GBのデータを読み込むのにかかる時間は約1/4秒。
 これにより、PS5が搭載するメインメモリ16GBのデータ全てを書き換えるのに要する時間は2秒程度となるとのこと。

 825GBというストレージ容量は、フラッシュメモリの12チャンネル接続を実現する上で現時点で最適な容量という事から決められたとのこと。
 拡張ストレージとしては専用SSDカートリッジのみ対応するXSXに対してPS5では汎用ストレージが利用可能とのこと。
 USBストレージの接続に対応する他(この場合はゲーム実行時にSSDにデータを移す必要があると思われますが)、M.2スロットを備えており恐らくはM.2 2280ドライブの搭載に対応しているそうです。
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 ただし、M.2 SSDは長さ以外…高さなどのサイズがまちまちで読み込み速度も一定しないため、内蔵ドライブと同じように扱えるかどうかはソニー側の検証を待つ必要があるようですね。

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 ストレージ周りのコントローラについてはPCI-Express 4.0接続で…圧縮形式はZLIBの他、新たに開発された「クラーケン」フォーマットに対応。
 これにより従来よりも10%の圧縮効率改善効果があるとの事。
 そして5.5GB/sの読み込み帯域を実効8-9GB/sに改善する為にカスタム解凍コアを搭載、これの解凍速度はPS5が搭載するZen2 CPUで9コア分に匹敵する物となるそうです。
 またパフォーマンス面では1-2コアのZen2に匹敵するDMAコントローラも搭載、専用プロセッサによるI/Oとメモリマップの管理に対応しているそうです。

 さらにデータの読み込みを効率化するための仕組みとして、GPUキャッシュのコヒーレンシー(メモリ一貫性)を保つためにメモリ全体を書き換えるのではなく、一部を書き換えるだけで済むようにする事でより高速な読み込みを実現するとのこと。

 これらのロード時間短縮の恩恵は、開発者が何をせずとも与れる物となるとCerny氏、非解凍データをどこに置きたいか指定するだけで高速なロードが実行されるとのこと。


 もう一つ大きな変更は3Dオーディオを実現する「Tempest Engine」で、Cerny氏はゲーム会社や開発者への聞き取りでもオーディオ技術者から話を聞ける機会が極めて少ない事を嘆き、ソニー側から次世代のオーディオ体験を提供するにはどうすれば良いかと考えたとのこと。

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 PS4におけるオーディオ処理はCPUのJaguarコアで7.1chが処理されていましたが、この処理に非常に向いているPS3のSPUに比べても不十分な物だったとの事で、PSVRでは50ぐらいの音源を処理するために独自にオーディオ周りを拡張する必要があったとのこと。
 PS5のTempest EngineではPSVRから更に桁違いの数百の音源を処理可能となり、大幅に性能が改善されているそうです。

 これにより、従来は単一の音源と処理されていた雨音の、雨滴が落ちる音一つ一つを演算することが出来るようになり、“音に包まれる”体験が実現可能になるとか。

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 また、個々人で異なる音の聞こえ方…HRTF(頭部伝達関数)をカスタマイズする仕組みも備えているとのこと。
 当初は5つのプリセットから選ぶ形となるようですが、将来的にはより幅広いカスタマイズを可能に出来るようにしたいとか?
 頭の形と耳の形を(画像で)送って貰うことで最適なHRTFモデルを選んでくれる仕組みを導入したいような事もいってますね。
 これも一種のクラウドコンピューティングではあるか。

 Tempest Engineの根幹をなすのはAMDのGPU演算ユニットからキャッシュを取り除き、DMAによる転送に依存するカスタムハードウェア…PS3のCell B.E.に搭載されていたSPUのようなカスタム演算装置を備え、PS4のCPUコア全てを合わせた物と同等の演算性能を発揮出来るとのこと。

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 デバイスについてはヘッドホンを装着することにより簡単にその恩恵に与れ、またテレビの内蔵スピーカーやサラウンドシステムにも対応可能と見込んでいるとのこと。


 …といった辺りですね。
 一般ユーザーが今回の発表を見ると具体的な物…ゲームハードやコントローラのデザインや機能、実際にゲームでどうなるかといった実例が示されていないので退屈に思う人も出てくるというのは分かりますが、根本的な部分から次世代機と呼べる物を実現する為にどうすれば良いかを考えた物であることは間違いなさそうです。

 普段(酸っぱい葡萄で)“ゲームはグラフィックじゃない”とか言っているニシくんはこういった改善を評価する必要があるはずなのですが、まあゲハで現実見て来ちゃった人に言っても仕方ない事ではありそうですね。

 ローディングの高速化やオーディオの変革は目…静止画やトレーラーでは見えない改善なのでどう一般層に伝えるかという課題が出てくる訳ですけど、体験すれば違いが分かる物となっていくのではないでしょうか。

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